松宮宏 まぼろしのパン屋

    Author: 立花家蛇足 Genre: »
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    作者

    松宮宏

    題名
    まぼろしのパン屋

    出版社
    徳間書店

    出版社による梗概
    朝から妻に小言を言われ、満員電車の席とり合戦に力を使い果たす高橋は、どこにでもいるサラリーマン。しかし会社の開発事業が頓挫して責任者が左遷され、ところてん式に出世。何が議題かもわからない会議に出席する日々が始まった。そんなある日、見知らぬ老女にパンをもらったことから人生が動き出し……。他、神戸の焼肉、姫路おでんなど食べ物をめぐる、ちょっと不思議な物語三篇。

    定価
    本体610円+税

    感想
    私はパン食が大好きであります。今回気づきましたが、それ以上に調理シーンや食事シーンのある小説が大好きなようです。ここの書評でも点数が高くなる傾向にあるようで、意地汚い性格を現わしていてお恥ずかしい限りです。
    落語にあります『うどん屋』『時そば』『二番煎じ』『明烏』『馬のす』などなど、聴くと思わず食べたくなる噺は寄席の閉鎖空間では欲求が増します。落語のマクラ『三ぼう』に『食いしん坊』を加えまして、『四ぼう』としたいですね。食いしん坊だけに『四ぼう(脂肪)』が付き物です。お後がよろしいようで……。
    って、終わっちゃいけません。

    落ち込んだり気分が低いときに観る映画やドラマ、聴く落語があります。映画でいいますと『三人の逃亡者』。これはフランス映画をリメイクしました、私の好きな俳優ニック・ノルティ主演のアメリカ映画の方です。
    ドラマは『Fringe(フリンジ)』。壮大な父と子の絆を描いたチョイとグロなアメリカドラマです。
    落語では、志ん生の『祇園会』、圓生は『御神酒徳利』、そして文楽では『明烏』、年代をグッと引き寄せますと、志ん朝の『お見立て』、文朝では『初天神』……、キリがないのでここで留めますが、バスに揺られて池袋の寄席に行くこともあります。寄席に行くという行為そのものが癒してくれるようでございます。

    話がだいぶ脱線しましたが、この「まぼろしのパン屋」はそんな位置付けの小説です。大人のファンタジーとでもいえましょうか。これは、ほぼ半数のページを占める表題作についてです。他の二つの短編「ホルモンと薔薇」、「こころの帰る場所」については、好みが大きく分かれるので強くはお薦めいたしません。初見の作家ですが、初期の北野武映画のように振り幅の大きい作家ですかね。作者として持っている引き出しの振り幅というよりは、それで作者自身の精神バランスを取っているという印象です。

    /10点(「まぼろしのパン屋」だけなら

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