細谷正充 編 時代小説傑作選 江戸の爆笑力

    Author: 立花家蛇足 Genre: »
    Rating

    作者
    細谷正充 編

    題名
    時代小説傑作選 江戸の爆笑力

    出版社
    集英社

    出版社による梗概
    市井から武家まで、江戸は笑いが溢れていた!
    落とし話から艶笑譚まで、「笑い」をテーマに時代小説の傑作短編を精選。山本周五郎、神坂次郎、山田風太郎、杉本苑子、泡坂妻夫、南條範夫ほか、バラエティに富んだ10編を収録。(解説・細谷正充)

    定価
    本体762円+税

    感想
    昭和25~63年までの時代アンソロジーになります。
    梗概以外の作家は、小田武雄、小松重男、清水義範、山岡荘八の四名です。
    どれも吹き出す笑いではなく、クスクスという含み笑いに近い作品ですね。
    小松重男の「蚤とり侍」と杉本苑子の「反古庵(ほごあん)の女たち」が出色でした。

    「猫の蚤、とりましょう~」という売り声の「蚤とり屋」は落語ではお馴染みですが、実はこの商売には「密夫屋(みそかおや)」という裏稼業がありました。作品では「密夫屋」となっておりますが、正しくは「密男屋」でしょう。いわゆる男娼です。
    猫の蚤をとるついでに、猫好きのお妾さんやら後家さんの不満を解消して廻ってました。
    「猫の蚤とり屋」と「密男屋」が兼業していたのは、1781~86年のわずか6年間です。
    お殿様から不興を買って蚤とり屋に身をやつした武家の物語です。
    落語で聴いてみたいですね。

    「反古庵の女たち」は五代目市川団十郎を主人公として、一家の女たちを描いております。
    「楽しみは 春の桜に 秋の月 夫婦なかよく 三度くふ飯」
    そんな女たちの修羅を抜けた団十郎が読んだ狂歌です。

    時代小説を読んいて、落語にしたら良さそう、とか講釈で聞きたい、とはあまり思わないのです。
    ですが、この二作品についてはそんな感想を持ちました。

    この「江戸の○○力」シリーズは他に「老人力」と「満腹力」がありますので、次は「満腹力」を読みたいと思っております。(相変わらず意地汚くて済みませぬ)

    /10点

    Leave a Reply