作者
ほしおさなえ
題名
活版印刷三日月堂 星たちの栞
出版社
ポプラ社
出版社による梗概
川越の街の片隅に佇む印刷所・三日月堂。店主が亡くなり、長らく空き家になっていた三日月堂だが、店主の孫娘・弓子が川越に帰ってきたことで営業を再開する。三日月堂が営むのは昔ながらの活版印刷。活字を拾い、依頼に応じて一枚一枚手作業で言葉を印刷する。そんな三日月堂には色んな悩みを抱えたお客が訪れ、活字と言葉の温かみによって心が解きほぐされていくのだが、弓子もどうやら事情を抱えているようで――。
定価
本体680円+税
感想
非凡なり、ほしおさなえ。
先日までHNKで放送されていた小川糸原作の「ツバキ文具店」と梗概が似ております。両作品はほぼ同時期の発刊です。
片や代筆、片や印刷、と舞台も背景も読後感も違いますので、比較することはいたしません。
あたくしは生まれてから祖父が亡くなるまで、活字(文字という意味ではなく、文字通りの鉛の活字です)に囲まれて生活しておりました。本書にあるような植字工(文選工)の方々がいつも近くにおりました。そんな思い出補正を排除してもこの作品は秀逸です。
おそらく今年読んだ小説の中でもイッチ上質でした。
書評で貶すのも勇気がいるのですが、称賛するのも勇気が必要なのですよ。ましてや、この作品で涙した、などと書くと「おまえはこういった内容で泣くのか!」、と思われるようで、少し恥ずかしいのです。(自意識過剰も甚だしい)
でも、この涙はなんの涙なんだろう……。
中編4作品からなる連作集です。それぞれの導入部が日記的(あらすじ的)で、そこだけが少々不満ですが、他は申し分ありません。
次作もポチりました。
あなたにもまだ間に合う人がいます。
そんな読後感です。
9/10点


