作者
横山泰子・門脇大・今井秀和・斎藤喬・広坂朋信
題名
江戸怪談を読む 牡丹灯籠
出版社
発行 白澤社
発売 現代書館
出版社による梗概
恋か命か、美しすぎる死霊に取り憑かれた美男、その運命やいかに……。
中国から原話が伝わるやたちまち日本で愛好され、江戸時代にいく度もリメイクされてきた牡丹灯籠の物語。
なかでも有名な浅井了意翻案による『伽婢子』の「牡丹灯籠」や、三遊亭円朝の『怪談牡丹灯籠』の他に、あまり知られていない灯籠の出てこない類話、鳥山石燕の妖怪画、幕末の世間話、狂歌など、江戸時代に創られた牡丹灯籠系怪談とでも呼べる物語群を収録。
牡丹灯籠の照らし出す世界へ読者をご案内します。
定価
四六判並製 本体2,000円+税
感想
ひとつの創作物が学術研究ではなく、このような解説書籍で出版されるのは圓朝ならではでしょう。
目次から
第一章 美しき怪談・牡丹灯籠(横山泰子)
第二章 浅井了意「牡丹灯籠」(現代語訳・解説=門脇大)
第三章 「牡丹灯籠」の原話「牡丹灯記」
第四章 百物語の牡丹灯籠(解説=広坂朋信)
第五章 骨女の怪奇とエロス──骸骨と幽霊の「牡丹灯籠」(今井秀和)
第六章 円朝口演『怪談牡丹燈籠』(解説=齋藤喬)
第七章 『怪談牡丹燈籠』を読む──お露の恋着と良石の悪霊祓い(齋藤喬)
第八章 深川北川町の米屋の怪談──『漫談 江戸は過ぎる』より(解説=広坂朋信)
もちろん圓朝の『怪談牡丹灯籠』は、忠僕孝助による仇討とお露・新三郎の幽霊ストーリーが交互に語られます。
目次でお分かりのように本書は幽霊ストーリーのみに焦点を当てて、圓朝の創作スタイルにまで踏み込んで解説しております。
また、所々当時の落語を引き合いに出し、牡丹灯籠との共通点や相違点を述べている点も新しい切り口だと思います。そこから圓朝の工夫がうかがえます。
例として、導入部の恋煩いでは『紺屋高尾』や『崇徳院』を取り上げられています。
とはいえ、多くの方が手にすることはないでしょう。『牡丹灯籠』の知名度が現在どれほどかは知りませんが、一部の演劇・演芸好き以外には、名前は知っているが詳しくは……、???だと思います。
販売数もそれ程見込めないので200ページで2,000円という値段(ページ当たり10円です)も仕方ありませんね。先の志の輔本(ページ当たり2.5円)の4倍です。
あたくしにとりましては、本書の方が百倍も千倍も価値があるのですが……。
この白澤社という出版社、ほかに「累ヶ淵」や「皿屋敷」、「猫怪談」などの江戸怪談シリーズを出版しているのでそのうち読んでみます。


