作者
古野まほろ
題名
新任刑事
出版社
新潮社
出版社による梗概
六年目、28歳、新人刑事。同期なのに先輩の女性刑事は優秀すぎるし、やらないといけないことも多すぎる――。でも、がんばります、市民のみなさまのために! と思っていたら、時効目前の犯人、目撃情報が。どうなる、僕? テレビや小説で無視されてきたディテイル満載。元キャリアの著者だから描けた超絶リアルな警察小説!
定価
四六判変型 本体2,200円+税
感想
警察庁キャリアという経歴を持つ作者、あたくしは初見です。
全500ページ中、序章と終章の50ページ、途中に挟まれる60ページにわたる警察書式の報告書(これが秀逸です)を除けば主人公の新任刑事の一人称なのです。
これは珍しいことだと思います。これだけの長編でしかも警察小説を一人称で書き上げるとは……。功罪相半ばでしょうね。
あたくしはそれなりに警察機構や内部事情もある程度は知っているので、少々(いや、かなりか?)冗長に感じます。
また、上記のような警察機構や捜査方法についての説明語りが多く、一人称であるため主人公の先輩方に会話で語らせるのです。そこが好みの分かれるところでしょう。一つの会話文が異常に長いことがあります。
初見のために想像ですが、この作者、警察キャリアのため一人称の方が書きやすかったのではないかと……。
前半で手放す読者も多かったのではないかと案じます。
しかし我慢(読書に対する適切な表現ではありませんが……)して読み進めると、ミステリーとして、警察小説としてかなりな完成度ではないかと思うのです。
よくぞここまで広げたプロットを一冊にまとめ上げたと……。
一カ所、手紙と領収書の金額が齟齬を来している部分があります。あたくしの手元にあるのは初版ですが、増版で訂正されているかは不明です。まあ、たいした齟齬ではないのですが、気になってしまったものですから。
サクサクと読み進めることはできませんが、警察小説に興味のある方でしたらお勧めです。(それでも、意見は割れるだろうな……)
前後してしまいますが本作の前に上梓された「新任巡査」も読むつもりです。
8/10点


