作者
田中克彦
題名
差別語からはいる言語学入門
出版社
筑摩書房
出版社による梗概
片輪、めくら、特殊部落…。公には使ってはいけないとされるこれらの言葉。しかしなぜこれらは「差別語」であり、使用する側にもされる側にも、そう感じさせるのだろう?例えば「屠殺」の場合、生きているウシと食材としてのギュウという二つの言葉を用意せずにはいられなかった私たちの感覚に、問題を解くカギがあるのではないか。自ら公の場で使用し、糾弾された経験を持つ著者が、一つ一つの言葉が持つ文化的背景などから、差別語の差別語たるゆえんを解読。避けて通ったり排除したりするだけでは何の解決にもならない、日本語の、日本社会の根本問題に取り組む。
この本の目次
差別語の発見
言語ニヒリズムの邪道
ことばは人間が作ったものだから人間が変えられる
蔑視語と差別語
サベツ語糾弾が言語体系にもたらす結果について
「オンナ」で考える―サベツ語と語彙の体系性
「片目」で考える―欠損を表わすための専用形
ハゲとメクラ―欠如詞(privativa)の概念を検討する
略語のサベツ効果について―「北鮮」から「ヤラハタ」まで
「トサツ」についての予備的考察〔ほか〕
定価
本体1,000円+税
感想
言語学者だからといって読みやすい文章を書くとは限らないのであります。いや、むしろ学者だからこそ、わざと読みづらく書いてるんじゃないの? と思ってしまいます。
朝日新聞出版が発行している季刊誌「小説トリッパー」に連載されておりましたが、2回(都合6講義分)であえなく中止の憂き目に遭ったものを、奈良県部落解放研究所発行の「部落解放なら」に媒体を移し継続した物です。梗概にありますこの本の目次で「ハゲとメクラ―欠如詞(privativa)の概念を検討する」以降がそれにあたります。
まあ、この見出しだったら朝日は掲載を見送るでしょうね。
差別語については特に目新しい内容は少ないのですが、日本語の言語体系の中から差別語を分析しております。
目次にもあります「片目」に代表される「片」は広辞苑には次のようにあります。
(1)揃えば対(つい)となるものの一方。万葉集(8)「天飛ぶや領巾(ひれ)―敷き真玉手の玉手さしかへ」。万葉集(11)「磯貝の―恋のみに年は経につつ」。「―手」
(2)整わないこと。不完全。
この(2)を表す「片」がある言語は世界的に見て希有であると著者は語ります。
片手は「一方の手」という意味のほかに、丹下左膳(古い!)の「隻腕(せきわん)」のように腕が一本欠損している状態も意味することがあるのです。
「片目」「片肺」「片側」などですね。少年時代の淡い「片思い」もそうです。
これが珍しいというのです。あたくしは日本語も覚束ないので、他の言語まではとてもとても分かりませんが……そうらしいです。
従来差別語として捕らえられることが多い「片手落ち」は「片手・落ち」ではなく「片・手落ち」として、差別語ではないと結論づけます。片方が手落ちになっている状態ですね。納得しちゃいました。
田中克彦 差別語からはいる言語学入門
Author:
立花家蛇足
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田中克彦
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Posted by 立花家蛇足
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