作者
加納朋子
題名
トオリヌケ キンシ
出版社
文藝春秋社
出版社による梗概
人生の途中、はからずも厄介ごとを抱えることになった人々。でも、「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。」(「トオリヌケ キンシ」より)他人にはなかなかわかってもらえない困難に直面した人々にも、思いもよらぬ奇跡が起きる時がある――。短編の名手・加納朋子が贈る六つの物語。
(収録作品)
高校に入ってから不登校・引きこもりになってしまったある少年。ある日彼の家に、一人の少女がやってきた。少女はかつて少年に助けてもらってもらったことがあるという――。『トオリヌケ キンシ』
「ある形」を見つけてしまう能力以外はごくごく平凡な女子高生。そのふしぎな力を生物の先生は「共感覚」と分析した……。『平穏で平凡で、幸運な人生』
やさしかった母がある日豹変、家の中でいじめられるようになってしまったタクミ。つらい日々の救いは、イマジナリーフレンド(想像のお友達)の存在だった。『空蝉』
人の顔が識別できない――「相貌失認」の「僕」は、高校入学を機にそのことをカミングアウトする。あろうことかその後「僕」はある女の子から「好きです」と告白される。不思議な始まりの恋の行方は? 『フー・アー・ユー』
長く連れ添った夫人を突然に亡くし、気落ちする亀井のおじいちゃん。家の中でひとりのはずが、ある日「座敷童がいる」と言い出した!『座敷童と兎と亀と』
前日に高熱を出して受験に失敗した「俺」は、ある場所に引きこもり、自分でコントロール可能な「明晰夢」を見る日々を過ごしている。そんな中で出会った女の子「ミナノ」、彼女は夢だったのか、それとも?『この出口の無い、閉ざされた部屋で』
定価
四六判 本体1,400円+税
文庫版 本体630円+税
電子書籍版 本体620円+税
感想
書影は文庫版です。
実はここでいう「書影」は、出版業界の用語でして、書籍の外観をいいます。ただし、辞書にはこの「外観」という語釈では記載がありません。「書物を下に敷いて、元の形の通りに文字などを写しとったもの。」という記載が、新明解国語辞典(第七版)にあるのみです。あと何年かすれば「外観」という語釈が登場することでしょう。
それはさておき、この短編集の読後感は「心の角が少しだけ、そう、ほんの少しだけ取れる」でしょうか? あたくしが何を言っているのか分かりづらいですが、なに、心配はご無用、言っているあたくしにだってよく分かってないのですから……(^^)
それもさておき、やはり一人称は難しいですね。ましてや語り手が小学生だったりすると尚更です。学生がこんな言葉は使わないだろう! と思ってしまいます。
そんな些末なことは気にせずに作品世界に入り込めばいいのでしょうが、創作者として刺激を欲しておりますので……ご容赦。
出版社の梗概でお分かりのように、どれも見たことがあったり、聞いたことがあるような話です。それを作者がどのように料理をするのかがこの短編集の読みどころだと思います。
その意味では少し策に走りすぎたようです。
4/10点


