作者
宇江佐真理
題名
江戸前浮世気質 おちゃっぴい
出版社
文藝春秋
出版社による梗概
アダやイナセは江戸の華、惚れたが悪いか恋の道行き
札差し駿河屋の娘お吉は、数え十六、蔵前小町。人呼んでおちゃっぴい。お吉と江戸の人々が繰り広げる、笑いあり涙ありの傑作人情譚
定価
本体640円+税
感想
「おちゃっぴい」、もとは「お茶ひき」(働いても金にならないこと)が転じた言葉と言われてます。現代では「おませな女の子」という意味ですね。
そんな女の子が主人公の表題作を含めた短編集です。
全六編は「町入能」「おちゃっぴい」「れていても」「概ね、よい女房」「驚きの、また喜びの」「あんちゃん」になります。
解説で時代劇研究家のペリー荻野も書いておりますが、一話目の「町入能」は『長屋の花見』ですね。
三話目の「れていても」には『長崎の強飯』そのままのシチュエーションがあります。
宇江佐のエッセイは未読なのですが、落語に対する造詣もあるようです。
また、表題作の「おちゃっぴい」は、杉浦日向子(すぎうらひなこ)の北斎とその娘お栄を描いた「百日紅」(さるすべり)の中の「愛玩」でしょう。
(小説もアニメも良かったです)
この短編集はデビュー直後のものなので、あからさまに題材を落語や他作家の作品に求めたのかもしれません。晩年の作品はそんなこともなくなってきております。
本作の帯には「人情噺」との惹句がありますので、編集は分かっていたのでしょうね。
六話中「概ね、よい女房」はすこぶる良い出来だと思います。これだけで価格の価値はあります。
(相も変わらずセコい表現だこと)
一話目の「町入能」と少々繋がりがありますので、続けて読むと至福の時が訪れます。
7/10点


