作者
高橋輝次
題名
誤植文学アンソロジー 校正者のいる風景
出版社
論創社
出版社による梗概
誤植も読書の醍『誤』味? 一字の間違いが大きな違いとなる誤植の悲喜劇、活字に日夜翻弄される校正者の苦心と失敗。吉村昭、杉本苑子、和田芳恵、上林暁らが奥深い言葉の世界に潜む《文学》の舞台裏を明かす。
定価
本体2,000円+税
感想
アンソロジーとなってはおりますが、前半が短編集、後半がエッセイで構成されています。誤植文学ではなくて、校正者が主役の短編です。題名から受ける印象はエッセイの方に多く見られます。作者は副題の「校正者のいる風景」を書題に採りたかったようですが、編集者に押し切られて「誤植文学アンソロジー」になったようです。作者の感性に一票!
多くの方に取りまして、ほとんどご興味のない世界かと存じますから、この書評も簡単にすませます。戦前のものから現代作まで幅広く校正者が主人公の短編を拾っておりました。エッセイもそれなりに楽しめるのですが、どちらも悲喜こもごもの【喜】が足りないように感じました。
誤植ではないのですが、あたくしが中学時分の英語のテストを思い出しました。
(問題)
以下の文を英訳しなさい
『良夫は、みな子が好きです。』
というものでした。
正解は『Yoshio likes Minako.』もしくは『Yoshio loves Minako.』ですね。
ところがあたくしは『Every good husband likes a child.』としました。
そう!問題文の『良夫は、みな子が好きです。』を『良い夫は、みんな子どもが好きです』と誤認識してしまったのです。
数十年も前のことをあれこれ言いたくはありませんが、せめて『太郎は花子が好きです』にしてくれていれば、英語嫌いにならずにすんだのに……。
誤植というと、都筑道夫の言葉が浮かびます。彼は編集者に向かってこう言い放ったのです。
「私の原稿には書き間違いはありません」
エラリー・クインズミステリーマガジンの初代編集長を経験した都筑にして始めていえるセリフですね。常に書き間違いやタイプミスに悩まされているあたくしは反省しなくてはいけません。


