作者
倉阪鬼一郎
題名
江戸は負けず 小料理のどか屋 人情帖12
出版社
二見書房
出版社による梗概
大火に逃げ惑う人々。
でも人の情がある限り江戸の町は負けない!
のどか屋が焼け落ちても、身ひとつ、命さえ助かれば、いくらでもやり直せる!……と、赤子の泣き声が。捨て子?放っておけない。
武士を捨て江戸に出て料理人となった時吉は、女房おちよと岩本町で小料理のどか屋を営んでいる。昼飯の客で賑わう見世に、半鐘の音が飛び込んできた。火は近い。早く逃げないと大変なことになる。背に小さな倅を背負い、女房と風下向かって逃げ出した。……と、火の粉が舞う道の端から赤子の泣き声が聞こえる。捨て子か、双子の赤子だ。放ってはおけない。
******今回登場するお料理******
昼御膳(若芽雑炊・焼き魚・切干大根煮付け)
山家(さんか)寿司
寒鰤の照り焼き
たたき牛蒡の胡麻酢和え
炒め飯
ほうとう鍋
おでん鍋
幸い飯(大根菜飯)
風呂吹き大根
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定価
文庫版 本体648円+税
電子書籍版 同上
感想
江戸の名物に「火事に 喧嘩に 中っ腹 伊勢屋 稲荷に 犬の糞」というのがありますが、この火事が発端になります。以前も江戸の大火をこのシリーズは扱いました。火事早い江戸では避けて通れない題材ですね。ちなみに先の江戸名物で「中っ腹」は短気なことで、「犬の糞」は文字通り犬のフンなのですが、「いんのくそ」と発音します。江戸っ子は「いぬのくそ」とは大層言いづらかったのです。江戸名物には別に「武士 鰹 大名小路 生鰯 茶店 紫 火消し 錦絵」というのもあります。これに続いて、京都名物、大阪名物、そして奈良名物の「町の早起き」が出てまいりますと、落語の『鹿政談(奈良の鹿)』となりますが、それはまた別の機会に解説いたします。
シリーズ前作では、クサイ描写が目に付きましたが、今作はそれらがなりをひそめて、淡々としかし、言葉を磨いて描かれていました。柳家さん喬の独演会から寄席の早い上がりに変わったような描写でした。落語ファンでない方には申し訳ない比喩です。カラオケでエコーをかけないで歌うようなものでしょうか? カラオケしないのでよく分かりません <(_
_)>
シリーズ開始から今作までに4年が経過しています。シリーズ内での時間経過はその倍くらいだと思いますので、当時の平均寿命を考えれば、度重なる火事や登場人物が死ぬのは避けて通れないことでしょう。その点あたくしは好意的です。
さて、大きな災害に見舞われると、このシリーズが少しだけ方向転換いたします。過去の火事、地震と物語が動きました。そして、今作の火事でもまた動き出しそうです。そして、ネコと子どものセリフが良いですね。(ネコは鳴き声と仕草ですが)
8/10点


