宇江佐真理 糸車

    Author: 立花家蛇足 Genre: »
    Rating

    作者
    宇江佐真理

    題名

    糸車

    出版社
    集英社
    出版社による梗概
    (新書版梗概)
    母として、女として深川でしなやかに生きる
    蝦夷松前藩家老の夫を亡くし、行商をしながら深川で一人暮らしをするお絹。定廻り同心の勝田をはじめ町の人々と親交を深めて、行方不明の息子探しに協力してもらうが、様々な事件に巻き込まれ…。

    (文庫版梗概)
    蝦夷松前藩家老の夫を亡くし、深川で一人暮らしをするお絹。行商をしながら息子を探すうち、様々な事件に出会い……。息子の行方を追いながら健げに生きる武家女の深川恋物語。(解説/末國善己)

    定価
    新書版 1,600円(本体)+税
    文庫版 540円(本体)+税

    感想
    色々な意味で切ない作品でありました。
    新書版の梗概にあります、定廻り同心の「勝田」は「持田」の誤植(この言葉も今は昔でしょうか?)です。切ないのは、別にそんなことではなくて、この作品と作者である宇江佐の人生が重なるのです。重なるのは主人公のお絹ではありませんよ。念のため。

    松前藩、糸車、そして主人公の名が「お絹」とくれば歴史に明るい方は背景がお分かりになると思います。

    予定調和でありながら、読者の想いをほんの少し外す。自分に登場人物の誰を投影させるかで読後感が変わります。ストーリーは思い描けても、この筆致は真似できません。いつになったらあたくしは追い付けるのでしょうか?

    本作の主人公であるお絹さんが泣き虫なのです。本当によく涙をこぼすのです。でも、お絹さんの涙は決して読者の涙を誘うためのものではないのです。だから、良いのです。

    宇江佐作品を未読の方にこそ読んでいただきたい作品です。なにぶん「髪結い伊三次捕物余話」シリーズは長いので、二の足を踏んでいるという方。本作か「古手屋喜十為事覚え」シリーズ(全二作です) が最適です。時代物がお嫌いでなければ是非お読み下さい。

    /10点

    Leave a Reply