作者
大菊美千子
題名
ミステリーの花束
出版社
文藝春秋
出版社による梗概
冴え渡る立花刑事と鶴見刑事の名推理! 殺人、横領・・・。平凡な日常のなか進行する凶事。人間の暗部を軽妙な筆致で照射する都会派ミステリー集。「二重人格」「二人花」「我が愛する五本の花へ――猫のひとりごと」「可愛い花――資産家令嬢」「遠い夢」「切手」の6編を収録。
担当編集者より
都内在住の女性の処女作です。それ以外の著者情報は未公開と、作品なみにミステリーです。構想10年。熟成の筆致をお楽しみください。
目次
「二重人格」「二人花」「我が愛する五本の花へ――猫のひとりごと」「可愛い花――資産家令嬢」「遠い夢」「切手」
定価
四六判 本体1,389円+税
感想(あたくしの書評では初めてネタバレがあります ご注意下さい)
本作の感想をネタバレ無しで書けるほどあたくしは筆力がありません。(^^)
「無名作家のミステリーが読みたい」とのわがままに応えて家人が買い求めてくれたのが本書でした。
作者の大菊美千子(おおぎく みちこ)はもちろん今まで知りません。大菊だから書題に「花束」なのか? などと考えながら読み始めると……。
1ページ目の数行で早くも奥付を確認することになったのです。
そこには「発売 株式会社 文藝春秋」、「発行 株式会社 文藝春秋企画出版部」とありました。
あ~、やっぱり! そうです、自費出版本だったわけなのですよ、これが。
もー小説の約束事やミステリーのタブーをことごとく犯した不思議な一冊です。
内容が不思議ではなく、登場人物があるときは「俺」、別のシーンでは「僕」と人称が定まりません。また、今は使われなくなった言葉「婦人警官」や「容疑者(これも被疑者が正しいです)が取調室で煙草を吸ったり」などなど、一ページで五カ所は「おいおい!」と突っ込んでしまいました。不思議な描写に終始ニヤニヤが止まりません。ですから、一気に読むのは辛かったです。数日に跨がりました。しかも本作の前に読んだのが宇江佐真理ですからね~。
現代版鼠小僧の容疑者は腕の良い料理人なのですが、訊き込みの結果(訊き込みのシーンは当然のごとく登場しません 結果のみ刑事が語ります)、実は前職がサーカス団員だったと分かります。ちょ、ちょ! 今時サーカス団員って……。
身に覚えのない殺人事件で容疑者にされる女性を描いた短編の題が「二重人格」ですし、女子銀行員が横領した現金二千万円の隠し場所を探り当てる短編の題が「切手」ときては、もはや笑うしかありません。
通常、自費出版でも校閲があるわけなのですが、著者が拒否したか、担当編集者が匙を投げたのか? 四六判で一ページに十五行というこだわりからすると、おそらく前者だと思うのですが、その志は立派です。(これは皮肉ではありません)
しかしよく書店に置いてあったなぁ~! 出版社の梗概にある「著者情報は未公開と、作品なみにミステリーです」などより、書店で扱ったことのほうがよっぽどミステリーです。少し調べましたところ、都内の図書館にも寄贈しているようです。
作者は都内在住とのことですが、出身はおそらく関西、年齢は現在還暦過ぎではないかと推測いたします。
これだけの体裁の本を自費出版いたしますと国産乗用車が買えてしまいます。しかも少し高級なやつです。
決して購入はお勧めいたしません。ネットでも注文できるようですが買ってはダメですよ。買うなよ! 絶対買うなよ! とダチョウ倶楽部みたいに言ってみます。
しかし、是非読んでいただきたい一冊です。
この著者にとって来年がよい年でありますように……。
???/10点 初めての測定不能です


