三遊亭圓生 浮世に言い忘れたこと

    Author: 立花家蛇足 Genre: »
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    作者

    三遊亭圓生

    題名
    浮世に言い忘れたこと

    出版社
    小学館「P+D ブックス」

    出版社による梗概
    昭和の名人が語る、落語版「花伝書」
    古今亭志ん生、桂文楽と並ぶ“昭和の三名人"の一人として、後世まで語り継がれる噺家、6代目三遊亭圓生。その名人・圓生が、芸や寄席、食べものなどについて、軽妙かつ真摯な語り口で、すべてを語っています。
    全体は、「人情浮世床」、「寄席こしかた」、「風狂の芸人たち」、「本物の味」の4部構成。特に、「人情浮世床」は昭和の落語を伝える花伝書として貴重である。落語ファンだけでなく、昭和の大衆文化に浸れる一冊です

    定価
    ペイパーバック版 本体500円+税
    電子書籍版 同上

    感想
    1979年9月3日(月)に津田沼のサンペデックで『桜鯛』の高座を降りた後の心筋梗塞で、その夜急逝した圓生ですが、底本はその二年後に講談社から出版されました。この津田沼のサンペデックはあたくしにとりましてちょっとした縁がある場所なんですが、それは別に機会があれば申し上げます。

    圓生のマクラで聴いた話、伝聞で漏れ聞こえてきた話、何かで読んだことのある話、初めて目にする話、大変興味深く読めました。
    口述筆記の全58話から構成されているのですが、それぞれ何時(いつ)何日(いつか)の話なのかが明記されていないのが残念です。
    一例を挙げますと、
    『噺家の名人といえども、独立してはだめだというのは、円喬の例があるんですよ。』(原文ママ)
    ここにある円喬は四代橘家圓喬ですが、圓生のこの言葉がいつ語られたのか? 興味ありませんか? よもや落語三遊協会を結成後とは思えませんが……。

    本物の味という章には22話おさめられておりますが、「バカウマ!」なものから「ありゃぁセコですな」なものまで、食だけでなくお召しや社会など圓生が思う本物を語ってます。

    落語では三人の名人について演目を挙げて語っており、紹介しましょう。
    養父で、先代でもあった五代圓生演じる『文七元結』の長兵衛はあたくしの及びもつかない上手さであった
    四代圓喬の『柳の馬場』の按摩が柳の枝にぶら下がる描写は生涯忘れられない。
    初代三遊亭圓右の『真景累ヶ淵』夕方なのに真っ暗に思え総毛立った。

    五代古今亭志ん生についても満州時代を含めて書いてあります。印象的なのは、志ん生とリレーで『文七元結』を演った時のことです。何を言い出すか分からないので(上)を演る志ん生を袖で真剣に聴いていて、お互いに感じ合う緊張感は一種の快感ですらあった。
    その志ん生が圓朝祭りで演った『中村仲蔵』は、噺に奥行きがあって場面転換に感心したとありました。志ん生の項はこう結ばれています。
    「しゃべれなくても、志ん生がいるというだけで、なんか心に張りがありましたのにね……。」

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