作者
宇江佐真理
題名
卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし
出版社
講談社
出版社による梗概
江戸に拡がる暖かい煮炊きの煙
人はね、当たり前のことがおもしろくないんだよ。裏返しや逆さまが好きなのさ――
のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ――。夫との心のすれ違いに悩むのぶをいつも扶(たす)けてくれるのは、喰い道楽で心優しい舅、忠右衛門だった。はかない「淡雪豆腐」、蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い「黄身返し卵」。忠右衛門の「喰い物覚え帖」は、江戸を彩る食べ物と、温かい人の心を映し出す。
「読み進むほどにページを繰るのが早くならずにはいられない小説がある。この小説もそうだった」――塩田丸男(解説より)
定価
文庫版 本体600円+税
感想
直木賞の選考委員だった平岩弓枝に6年間、毎年のように候補作を酷評されながらも作品を生み続けた宇江佐真理。
「受賞できなければ人生おしまいなのだろうか。私はそこに疑問を持つ。その疑問を解決するために私は今日も明日も小説を書く」
と死の間際まで書き続けました。
これはそんな達観した2004年に書かれた小説です。
宇江佐作品に流れる暖かさにあふれております。決して熱くない、いわば人の温もり、体温の暖かさでしょうか?
梗概にある食べ物はほんの脇役です。それほど描写があるわけではありません。そこもまたいいのです。
心のミステリーとでもいいましょうか、いつどんな情態で読んでも安定した読後感はさすがです。
「拙者の妻です」
いい台詞にしびれました。
8/10点


