車浮代 えんま寄席 江戸落語外伝

    Author: 立花家蛇足 Genre: »
    Rating

    作者
    車浮代

    題名
    えんま寄席 江戸落語外伝

    出版社
    実業之日本社

    出版社による梗概
    『蔦重の教え』『春画入門』のベストセラー作家が贈る、
    大人の落語ミステリー

    ここは落語の世界の住人が落ちてくる地獄「えんま寄席」。閻魔を納得させれば天上界へ行くことができるが怒りを引き出せば地獄へ落ちる。最初に「えんま寄席」にあがってきたのは、人情話の代表格『芝浜』で登場したお先。けなげに夫のために生きた彼女は天上界へと思いきや…『蔦重の教え』著者が古典落語をベースに、本当は怖い「その先の噺」を描く、異色の連作時代小説集。
    三遊亭円楽師匠推薦!

    定価
    本体1,500円+税

    感想
    あたくしは二次創作には否定的です。二次創作について簡単に説明しますと、既存の作品の設定や人物を利用して、二次的に創作された作品。とでも言えばいいでしょうか? 例えばあたくしがサザエさんの登場人物を借り受けて現代風な小説を書けば、それは二次創作になります。テレビアニメのサザエさんは二次的著作物であり、ここで言う二次創作にはあたりません。
    日本では古く浄瑠璃や歌舞伎の書き替え狂言として多くの事例が見られます。落語でも近松門左衛門の浄瑠璃「曾根崎心中――お初徳兵衛道行」から人情噺「お初徳兵衛浮名の桟橋」が生まれました。またその発端を三代三遊亭圓遊が独立させ滑稽にまとめたのが「船徳」です。三代三遊亭圓遊はこの改作を得意として他にも多くの演目を遺しました。パロディやパスティーシュの一種といえるかもしれません。

    あたくしがなぜ二次創作に否定的かと申しますと、創作者(作家)として一番の腕の見せ所であり、楽しみでもある(多くの場合苦しみでもありますが……)登場人物の個性(造型)を深める取り組みを自ら放棄していると思えてならないからです。アマチュア(ときにはプロでも)が無料で小説投稿サイトやHPで二次創作を載せるのは百歩譲って認めましょう。ですが、出版してお足(銭)を取ってはいけません。人のフンドシで角力はいただけません。著作権の問題ではなくて作家としての志の問題なのです。

    本作が二次創作かどうかは意見が分かれるでしょう。落語は新作を除いてほとんどの場合著作権法に抵触しないので、出版社もOKを出したのでしょう。
    適当に既存の噺をくっつけて、隙間を誤魔化して埋めるとこの作品になります。そこには、原作に対するリスペクトもなければ、舞台や趣向を新たに、という工夫もありません。

    梗概にあります、本当は怖い「その先の噺」も、かつて正岡容が発案した落語のその後篇のパクリです。せめてあとがきで触れろよ! と言いたくなります。

    作者である車浮代(くるま うきよ)については、まったく知りませんが、巻末の略歴には「江戸料理・文化研究家」とあります。本当(ほんと)かよ!? 江戸落語なのに作中に上方言葉が出てきたり、現代の言葉があったり、と考証も半ちくでした。略歴には時代小説家との記載もありますが、時代小説は一作も物していないようです。

    帯にあります当代圓楽の言葉「今度高座に掛けてみようかな…」にも頭を抱えてしまいます。圓楽は読んだのか!?

    落語ファンの方、絶対に読まないでください。決して煽っているわけではありません。しばらくは憂鬱になりますよ。

    /10点(零点にしたかったのですが、小説の態はなしているので……)

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