倉阪鬼一郎 ほっこり宿 小料理のどか屋 人情帖13

    Author: 立花家蛇足 Genre: »
    Rating

    作者
    倉阪鬼一郎

    題名

    ほっこり宿 小料理のどか屋 人情帖13

    出版社

    二見書房

    出版社による梗概

    江戸で唯一、初めての旅籠付き小料理屋!
    新たなる挑戦が始まる。
    大火で焼失したのどか屋の思いもよらぬ再建策――!
    辛い坂道で後ろから荷を押してくれるような料理屋の宿に、訳ありの家族客が…。
    侍を捨て江戸に出て料理人となった時吉と女房のおちよの岩本町の小料理のどか屋は、大火で焼け落ちた。紆余曲折があり、さまざまな人の助けも得て、のどか屋は横山町に旅籠付きの小料理屋として再開することになった。辛い坂道で後ろから荷を押してくれるような料理が評判の「ほっこり宿」に安房の館山から来たという、なにやら訳ありの三人の親子連れが草鞋をぬいだが……。
    ******今回登場するお料理******
    ◎砂金(さきん)寿司 ◎豆腐飯 ◎鰯の蒲焼き
    ◎枝豆のかき揚げ ◎鮎の胡椒酒焼き
    ◎蛤寿司 ◎小竹葉豆腐 ◎かくや丼
    ◎穴子の八幡巻き ◎鰹のいぶし造り
    ◎夕鯵なめろう ◎鱸の蓼味噌焼き
    **********************

    定価

    本体648円+税
    電子書籍版 同上

    感想

    今まで小料理屋だった『のどか屋』が旅籠付になりました。めでたしめでたし……、って終わっちゃダメでしょう (^^)
    大丈夫です。終わりません。更に物語は続きます。
    梗概にあります「なにやら訳ありの三人の親子連れが草鞋をぬいだが……。」はいうほど謎でもなんでもありません。淡々と話が進みます。その淡々とした描写がいいですね。大きな事件が起るでもなく、市井の人々の人生の転換期を料理を絡めて描いて見せます。
    料理と猫と俳句、ここにきて作中に上手いことはまり出しました。
    この作品で作者はいくつかイタヅラをしていると思うのですが……。
    1.作者の別シリーズである「人情処 深川やぶ浪」の蕎麦処『やぶ浪』をカメオ登場させました
    2.考証的にあれ? あれ??? という言葉を挟みました

    1については今後を待つしかないでしょうが、2は意見が分かれると思います。
    『握手』と『屋形船』がその言葉なんですが、『握手』は作中の描写では『両の手で握り返した』と言い換えることができますし、『屋形船』は無難に『屋根船』と書いておけば穏便だったと思います。
    『握手』という言葉が日本に入ってきたのは江戸より前ですが、どこまで一般的だったのかは謎です。また、『屋形船』も正確を期すならば『屋根船』でしょうが、この時代(江戸末期)の町人が『屋形船』と『屋根船』を使い分けていたのかは不明です。現代人でも使い分けている人は小数だと思うのです。
    おそらく作者はそんなことを含めて、確信犯的にこの言葉を作中に取り入れたのではないでしょうか?
    ゴチャゴチャと些末にこだわりましたが、そんなことは脇に置いて、素直に楽しむのが良いでしょう。
    鰯の蒲焼き食べたい
    /10点

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