作者
倉阪鬼一郎
題名
走れ、千吉 小料理のどか屋 人情帖18
出版社
二見書房
出版社による梗概
夜中に宿の床を出た客、思い詰めた顔で大川へ。
気づいた千吉が追う!
死にそこなった素人落語家浅草亭夢松は元乾物屋の主。
身投げ騒動の続く大川端に「動く自身番」の旨い物屋台を出さないかと誘われて…。
元大和梨川藩の磯貝徳右衛門は侍を捨て、料理人時吉となった。女房おちよと旅籠付き小料理のどか屋を開き人気を博している。そんなのどか屋に素人落語家で元乾物屋主の元松が宿をとった。夜ふけて元松は起きだし、思い詰めた顔で大川に向かった。これに気づいた、のどか屋の一人息子千吉は後を追う。不自由な左足で必死に走る。噺家のおじちゃんが死んじゃう。
*****本書に登場する小料理*******
・加丹生煮(かにぶに)蟹と蕪 ・蛤の酒蒸し
・寒鮃の竜皮昆布巻き ・牡蠣飯 ・牡蠣の浅草揚げ
・昆布の寿揚げ ・鯛の雪化粧蒸し ・細魚の糸造り
・牡蠣大根鍋 ・寒鰤の照り焼き
**********************
定価
文庫 本体648円+税
感想
本年最初の書評です。今年は辛口でまいります。
倉阪の「小料理のどか屋 人情帖シリーズ」も本書が18作目となりました。
ここに来て作者の筆が格段と達者になったことが分かります。何がそうさせたのかは不明ですが、言葉一つ一つの使い方など含めて熟練してきたことがうかがえる作品です。
ですが、「出る杭は打たれる」あたくしは典型的な日本人ですから、出る杭を打っちゃいます。(^^)
本書は少々筆が走りすぎて鼻につきます。料理の描写や句会の様子などもう少し抑えるべきでした。作者が楽しそうに書いている反面、それが読者(少なくともあたくしには)に伝わってきませんでした。
料理や俳句が詳細を究めている(それが成功しているとは言いません)反面、落語(時そば)の描写が頼りなくいい加減でした。誰のどんな『時そば』を参考にしたのかは分かりませんが、こんないい加減なサゲの『時そば』は聴いたことがありません。少し考えれば分かりそうなものを……。ここはもっと精進してもらいたい部分です。
「子どもと猫」という反則合わせ技で何とか持たしてますが、悪い意味でマンネリですね。
5/10点


