作者
鯨統一郎
題名
崇徳院を追いかけて
出版社
東京創元社
出版社による梗概
宮田六郎と早乙女静香、『邪馬台国はどこですか?』でおなじみのコンビが京都で殺人がらみのトラブルに遭遇、警察に疑われながら解明に当たる。歴史上の謎に通じるその真相とは?
定価
定価 : 本体760円+税
感想
高校野球の強豪校は「崇徳高校(そうとく こうこう)」ですが、崇徳院は「すとくいん」と読みます。崇徳天皇のことです。
本書は書題にもあります、その崇徳院と西行の謎に迫るミステリーとなっております。
崇徳院と西行というと、落語ファンにはお馴染みの上方根多ですが、あたくしは『崇徳院』は三代桂三木助、『西行』は二代三遊亭円歌を思い出します。
最近のガッコで教えているかは分かりませんが、小倉百人一首77番歌「瀬を早み 岩に塞(せ)かるる 瀧川の われてもすゑに 逢はむとぞ思う」は崇徳院が詠みました。これと、17番歌在原業平(ありわら の なりひら)の「千早(ちはや)ぶる 神代(かみよ)もきかず 龍田川(たつたがは) からくれなゐに 水くくるとは」が落語ファンの二大和歌ですね。
本書は残念ながら落語とは全く関係がありません。「邪馬台国はどこですか?」の主人公、早乙女静香と宮田六郎の二人が京都で探偵ゴッコをする初の長編です。今までこのシリーズはバー「スリーバレー」を舞台にしたアームチェア・ディテクティブ(安楽椅子探偵)ものでしたが、この作品で外に飛び出しました。正直、これは失敗でしたね。やはり、飲みながらあ~だこ~だと小理屈や屁理屈を楽しむシリーズでしょう。
シリーズに共通している作者の歴史への新解釈が、殺人などのトラブルによって薄まってしまいました。
それでも、先の和歌「瀬を早み……」の解釈で本領は発揮しています。
シリーズ第一作の「邪馬台国はどこですか?」をそれ以降超えられない作者ですから、もしお読みになるのでしたら、日本史系ならば「邪馬台国はどこですか?」、世界史系であれば「新・世界の七不思議」がよろしいと思います。バーでの会話が主体ですので読みやすいです。
別シリーズですが「タイムスリップシリーズ」の第一作「タイムスリップ森鴎外」もお勧めです。
どちらもシリーズを書き進めるうちに落ち込みがみられますので、一作目だけで充分でしょう。
5/10点


