倉阪鬼一郎 手毬寿司 小料理のどか屋 人情帖4

    Author: 立花家蛇足 Genre: »
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    作者

    倉阪鬼一郎

    題名
    手毬寿司 小料理のどか屋 人情帖4

    出版社
    二見書房

    出版社による梗概
    江戸の町を大火が襲う。
    でも、命さえあったらまたやりなおせる!

    店を失った時吉とおちよは無料炊き出し屋台を引いて
    復興への一歩を踏み出した。
    皆が苦しいときこそ人の情が心にしみる!

    冬の江戸の町に強風が吹き荒れるなか、神田三河町の茶漬屋から上がった火の手は、元武家で刀を包丁に持ち替えた料理人時吉の「のどか屋」にまで迫ってきた。師匠の娘おちよと客を一足先に逃がした時吉は、猛烈な火勢と煙のなか、風上に向かって走りだしたのだか……。喧騒のなか、どこからか赤子の鳴き声が聞こえてきた。しかし、火はもうすぐそこまで迫っている……。

    ****今回登場するお料理***
    従兄弟(いとこ)煮 かくや
    蛸大根 嫁菜飯と業平汁
    蒟蒻の霰(あられ)汁 伊勢海老の田楽
    千疋(せんびき)飯 寄せ玉子
    青菜の生姜浸し 手毬寿司
    手綱寿司 筍羹(しゅんかん)
    *****************

    定価
    本体700円+税

    感想
    この作品から出版社の梗概に作品中に登場する料理が載ってます。よいアイデアだと思います。
    前三作品は短編の連作集でしたので、シリーズ四作目にして初めての長編です。巻末には参考文献が載っております。これも初めてのことです。参考文献の数、実に54冊です。以前の書評にも書きましたが、かなり勉強して言葉を選んでいるのがこのあたりからも分かります。それに、作品中に登場する料理は実際に作者自身でも作っているのではないかと思います。それほど今作の調理場面は真に迫っておりました。

    あたくしは少し前に、江戸末期の一膳飯屋と猫の話を書こうかと思っていたのですよ。構想から史料調べをして、章立ても済んでいたのですが、その時にこのシリーズを読み始めまして、お蔵入りにしました。もちろん筋も違いますし、読後感も違うのですが、料理屋と猫の話は、知っているものにとって、二番煎じに映ってしまうことでしょう。

    さて、この作品ですが、圓朝の人情噺を読んでいるような心持ちにさせてくれます。齢を重ねるといろんな所が緩くなるんですよ。何カ所かで目から水ならざるものが……。
    1・2・3と徐々にですが点数が下がっていたこのシリーズ、ここで一気に挽回です。益々目が離せなくなりました。

    /10点

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