真保裕一
題名
猫背の虎
出版社
集英社
出版社による梗概
安政二年、大地震が江戸を襲った──。
(臨時の町廻り)虎之助は、人びとのため混乱の街を駆ける!
安政二年、天地を揺るがす大地震が江戸を襲った。騒乱のなか、臨時の町廻りを言いつかった新米同心の虎之助は、不審な遺体の発見や赤ん坊の神隠しなど、さまざまな出来事に遭遇する。大柄で気の優しい虎之助はときに迷いながら、岡っ引きの松五郎、勝気な母や姉らに助けられ、住む場所と家族を失った民のため町を駆ける! 天災に見舞われてなお、懸命に生きる市井の人びとを描く傑作時代小説。
定価
新書版(猫背の虎 動乱始末) 本体1,600円+税
文庫版(猫背の虎 大江戸動乱始末) 本体620円+税
感想
新書版と文庫版で副題が違っています。当然ながら値段も違います(あたりまえやろ! 笑)。
デビュー当時の「小役人シリーズ」の舞台を江戸末期に移した趣の作品です。吉原の考証はご愛敬ですが、ふと現代に戻されてしまうような用語などに難ありです。気になる方は読む手が止まってしまうと思います。
現代に置き直すことが不可能な内容には好感が持てます。ただエピソードを盛り込みすぎたせいか、掘り下げが足りないと感じました。
久しぶりの真保作品ですが、夢中になって読んでいたときとは違い、作風に冷静に向き合えました。出自ゆえか、映像を文章にしたような描写が多いです。もちろん、ラノベとは違い過度な表現などはありませんが、映像が頭の中に入ってくるため人物の心情が浅いと感じてしまいます。そう感じない読者も多いとは思いますが、私は心情に入り込めませんでした。それでも最後まで読ませる力があるのはさすがです。
文庫版の解説で触れられていますが、岡場所の飯盛り女のことを調べているときに、安政の江戸地震に興味を持って作品に仕上げたようです。私もかなり江戸地震について調べましたが、当日の雨のことに触れていないのは少し残念でした。
続編があるのかは分かりませんが、翌年に江戸の大風がありました。こちらは江戸地震の10倍の死者が発生した大災害です。是非書いていただきたいです。好きな作家ゆえ少し厳しめの感想になってしまいました。反省します。
6/10点


