日明恩 ゆえに、警官は見護る

    Author: 立花家蛇足 Genre: »
    Rating


    作者
     日明恩

    題名
     ゆえに、警官は見護る

    出版社
     双葉社

    出版社による梗概

     明け方の港区芝浦のマンション前で焼死体が発見された。重ねられた自動車タイヤの中に立たせた人体を燃やすという残忍な手口は世間の耳目を集める。だが検視の結果、燃焼時には既に死亡していたこと、遺体は長時間冷凍されたものだったことが判明する。さらには、西新宿のビルの前で同様の手口の殺人放火事件が発生。新宿署の留置管理課に異動となった武本は、新宿署の特別捜査本部に応援にきた警視庁刑事総務課刑事企画第一係の潮崎警視と再会する。二人の接近を警戒する同捜査一課課長の下田警視は、同捜査二課知能犯捜査第一係の宇佐見巡査部長と、入庁二年目で捜査一課に抜擢された正木星里花巡査を、そのお目付け役として派遣する。人気シリーズ第四弾!

    定価
     四六判 本体1,800円+税

    感想 

     相変わらずブレない主人公たちに接し、嬉しく読み進めることができました。

     しかし、版元の双葉社に言いたい!
     数カ所散見される誤植は致命的なものはなかったので、良しとしましょう。でもね、「遠藤」「ホームレス」「ゴザ」「武本の役職」に関しては校閲の問題でしょう。(もちろんゲラに何度も何度も目を通している作者自身の問題でもあります)
     ネタバレにはならないので記しますが、
    「遠藤」は捜査一課の刑事です。現場から目撃者が収容された病院へと立ち去りますが、同じ現場での機動捜査隊員の報告場面に登場しちゃってます。
    「ホームレス」、留置されている容疑者はクレジットカードのほかにも免許証を所持しており、自営とはいえ運転手と説明されているのに、40ページ後にはクレジットカードのみ所持、と変わっております。所持金も「7,542円」から「7,540円」になってます。
    「ゴザ」は留置場の食事時間に管理官からそれぞれの房に配られる、という設定が300ページ後は留置人自ら房の棚からゴザを取り出している描写になってます。
     そして「武本の役職」は警部補なの? 巡査部長なの? 試験に受かったという回想があるので警部補なのでしょう。
     いずれも寡作者ゆえのミスだと思います。速筆の作家であればまず犯さないものです。だからこそ、校閲さんにしっかりしていただきたかったです。重版や文庫化に際して加筆訂正を願いたいです。

     あたくしのそんな些末なイチャモンをよそに、本作は重厚で読み手に絶えず問いかけてくるものがあります。人物同士の会話は時に寸鉄のように心に刺さります。それを含めて場面場面がいちいち楽しいのです。
     ブレない主人公たちと先に書きましたが、作者の日明恩もブレませんね。恐らく主人公の武本と心中するつもりでしょう。
     続編は残念ながらまた4年ほど待たないと……。

     そうそう、本作であらたにチームを組んだ一人「宇佐見巡査部長」ですが、短編「トマどら」に登場してます。前後しましたが光文社刊「和菓子のアンソロジー」を読んでみます。

    /10点

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