作者
宇江佐真理
題名
擬宝珠(ぎぼし)のある橋 髪結い伊三次捕物余話
出版社
文藝春秋
出版社による梗概
惜しまれつつ亡くなった作家の、人気シリーズ最終巻
宇江佐真理氏がデビュー以来書き続け多くのファンを獲得してきた「伊三次シリーズ」最終巻。文庫書下ろしの「月は誰のもの」も収録。
定価
本体1,750円+税
感想
ついに十九年の長きにわたった髪結い伊三次捕物余話シリーズも最終巻になってしまいました。作者早逝のため当然未完です。
全400ページ中新話が約150ページで、文庫書き下ろし作として既刊の「月は誰のもの」を納めて一冊分にしてあります。未收録作品だけでは一冊の分量に満たなかったのでしょうが、どんなに薄くても150ページで出版しても良かったのではないでしょうか。まあ出版社の事情もあるのでしょうが残念です。
最新の茜と伊与太が登場しないのは寂しいですが致し方ありませんね。
未収録三篇のうち、表題作「擬宝珠のある橋」は申し分ないのですが、「月夜の蟹」は説明台詞が多いように感じました。「青もみじ」も健康面の問題なのか、作品としての始末の付け方に疑問でした。もっともっと健康で書き続けてもらいたかった!
このブログではもう取り上げることはありませんが、あたくしにとりまして、これから何度も読み直すシリーズです。
同じく早逝した北森鴻(きたもり こう)と公私ともにパートナーだった浅野里沙子が未完作品を完成させたように、誰かが完結させてくれないものかと願っております。
ここでいう擬宝珠は、表表紙にあります橋柱に乗っかっているとんがり頭のことです。江戸には日本橋、京橋、新橋の三つにだけありました。表表紙の擬宝珠には荒縄が巻かれていますが、これは頭痛を治すための江戸の古いまじないです。
作中に心太(ところてん)が登場しますが、あたくしの親父は心太を食べる時は常に箸は一本だけでした。これも古い東京の風習です。原料である天草(てんぐさ)は古いものを使うと心太が切れやすくなるため、一本箸では持ち上がらないのです。そこでウチの店は新鮮な天草を使ってますよとアピールするため一本箸で提供しました。あたくしは今でも心太は一本箸で頂きます。
6/10点


