宇江佐真理 為吉 北町奉行所ものがたり

    Author: 立花家蛇足 Genre: »
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    作者
     宇江佐真理

    題名
     為吉 北町奉行所ものがたり

    出版社
     実業之日本社

    出版社による梗概

    過ちを一度も犯したことのない人間はおらぬ――

    与力、同心、岡っ引き、そしてその家族……
    北町奉行所の<狼>たち、悲喜交々の人間模様。名手が描く新境地。

    心のお裁きはまだ終わっちゃいねえ――
    為吉は幼いころ呉服屋「摂津屋」の跡取り息子だったが、両親を押し込み強盗に殺されていた。その後、北町奉行所付きの中間となっていたが、両親を殺した盗賊集団・青蜥蜴の首領が捕まったとの知らせが届く。その首領の発したひと言は為吉の心に大きな波紋を広げ……。与力、見習い同心、岡っ引きなど、江戸の治安を守る<狼>達が集う庭の、悲喜交々の人間模様。そして、為吉の人生にも大きな転機が訪れる……。


    定価
     本体1600円+税

    感想
     やっぱりスゴイ作家です、宇江佐真理は。先に真保裕一の猫背の虎を読んで、そして自分でも短編時代小説を一本書き上げたのですが、もうね、レベルが違うのです。いつかこういう作品を書いてみたいなぁ~、と心に迫ってくる希有な作家でした。過去形で書かなくてはいけないのが、悔しいです。

     月刊ジェイ・ノベルに2013年2月号から2015年5月号まで掲載された、短編6作からなる連作集です。最終の「下っ引き 為吉」はその今年5月の掲載です。執筆は恐らく今年の初めくらいでしょうか? 絶筆がどの作品なのかはまだ分かりませんが、この「下っ引き 為吉」はそれまでの短編と違って、少し結末への展開を急いだように感じました。通常の宇江佐作品とは趣を異にしています。宇江佐の死によって、涙とともに私の目が曇っているせいかもしれませんが……。

     1話目と2話目が出色です。2話目はこれだけ読むと、救いのない話です。でも、1話目があるからこそ、救いのない話が救われているのです。これぞ宇江佐の神髄でしょう。

     真保裕一が品川の岡場所を題材にした作品を構想しているようですが、この2話目を読んで停まっているのではないでしょうか? そう勘繰ってしまうほどの出来です。もちろん他の短編も、大げさな表現や描写などを安易に用いずに、心に迫るものがあります。
     でも、出版社の梗概は少し違うような気がします。もうちょっと上手くこの作品を表わせなかったのでしょうか?

    /10点

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