宇江佐真理 無事、これ名馬

    Author: 立花家蛇足 Genre: »
    Rating

    作者
    宇江佐真理

    題名
    無事、これ名馬

    出版社
    新潮社

    出版社による梗概
    頭、拙者を男にして下さい! 武家の息子、火消しの頭に弟子入り志願!? 少年の成長を描く心温まる時代小説。

    吉蔵は町火消し「は組」の頭。火の手が上がれば、組を率いて駆け付け、命懸けで火事を鎮める。そんな吉蔵に、武家の息子・村椿太郎左衛門が弟子入りを志願してきた。生来の臆病ゆえに、剣術の試合にどうしても勝てない太郎左衛門。吉蔵の心意気に感化され、生まれ変わることができるのか……。少年の成長と、彼を見守る大人たちの人生模様を、哀歓鮮やかに描き上げる、傑作時代小説。

    定価
    新書版 絶版
    文庫版 本体520円+税

    感想
    「春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る」の続編にあたります。主人公は村椿五郎太からその息子太郎左衛門、愛称たろちゃんに移ってます。

    もうね、このたろちゃんが良いのです。臆病で、泣き虫で、なによりも真っ直ぐなのです。そんな真面目なお武家の息子と市井の人との交流を描いた作品です。
    あたくしは子を持ったことがないので、子育てについては想像することしかできませんが、子どもの心も揺れれば、親の心も揺れるのでしょうね。

    火消しについての詳しい描写も嬉しい作品で、勉強になりました。木遣りも良いですね~。

    気になったのは、全六作の短編の後半二作が少し駆け足に感じました。初出は小説新潮の連載なのですが、ひょっとして打ち切りだったの? と穿った見方をしてしまうほど駆け足です。確かに主人公たろちゃんの登場場面が少なくなっています。作者自身に迷いでもあったのでしょうか?

    それでも、たろちゃんが登場すると暖かな風が作中に吹きます。出来ればゆっくりとシリーズで読んでみたかった作品です。今となっては無い物ねだりですが……。

    宇江佐真理本人による文庫版あとがきも泣かせます。

    /10点

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