作者
宇江佐真理
題名
春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る
出版社
新潮社
出版社による梗概
太刀も振るいません。決まった仕事もありません。野心も気概も……、あまりないかもしれません。でも、村椿五郎太はほんとうにいいヤツです。
村椿五郎太、25歳。先祖の不始末といまいち野心に欠ける遺伝子が災いして、うだつのあがらぬ小普請の身。目下の目標は、学問吟味に合格して御番入りを果たすこと、なのだが、文茶屋での代書屋の内職も忙しい。そんなのんびり男を焦らせたのは、幼なじみの紀乃。学ならずんば、恋もままならず――。どうする、五郎太! 代書屋に持ち込まれる騒動、そして一進一退の恋と学業の行方や如何に。
定価
新書版 絶版
文庫版 本体550円+税
感想
宇江佐真理の著作は60を超えております。詳しく勘定したことはありませんが、あたくしは50は読んでいると思います。遺された10のウチの1冊です。遺された宇江佐作品があることに喜び、その数が減じることを切なくも思います。
梗概にありますように、文茶屋で小遣稼ぎをしている小普請組の村椿五郎太を主人公とした連作短編集です。5つの短編の中で2作品に吉原が描かれておりました。
実は宇江佐の作品に吉原はあまり登場しません。吉原のお針子を主人公とした連作短編集「甘露梅~お針子おとせ吉原春秋~」と短編の「紫陽花」くらいでしょうか?
本作の吉原は実に丁寧に描かれております。松井今朝子著「吉原手引草」のような辟易するものでなく、さり気なく吉原の空気を描いてありました。落語に見られる正しく、そして優しい吉原です。里言葉にも苦労したと思いますが、心地良いです。
本作が小説新潮に連載されたのが1999年からですから、作家デビュー4年目の作品ですめ。文庫版は既に16刷を重ねており人気作といってよいかと思います。
実在の人物を巧みに絡めた作品も含まれています。以前の書評で取り上げた倉阪鬼一郎著「ようこそ夢屋へ」と似た設定ですが、人物の配置、掘り下げ方において宇江佐の達者が際立ちます。
人間って捨てたもんじゃない。人生って案外いいもんだよな~。そんな読後感です。
続編として「無事、これ名馬」も楽しみです。
ひと言……、山内昌之(やまうち まさゆき:国際関係史)の文庫解説がネタバレ満載ですので、先にお読みにならないことをお薦めいたします。
7/10点
宇江佐真理 春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る
Author:
立花家蛇足
Genre:
»
時代小説
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Posted by 立花家蛇足
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